のた犬のうまい猫めし

どら猫が作る、のた犬のための飯、略称、どら飯について語りつつ、各種技術、経済系セミナーに参加した報告、OSSいじってみた等のネタを入れていきます。更新情報はtwitterの@nota_inuにて。

楽天証券 新春講演会2015「2015年日本経済の展望」慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所所長兼教授 竹中平蔵氏

経済学の準備体操編を書いているところ。今年は大きな交差点を渡る一年。日本経済にはいいことが起こりつつある。このままいくと交差点わたって高速道路に乗れる。その勢いが国民に伝わっていない。ゆるやかな回復の一年になる、と言ってもよい。世界全体の経済成長は3.3から3.5%へ。アメリカは2から3%。再びアメリカがリードして緩やかに回復すると見込まれる。中国は少し下がる。新興国全体は緩やかな回復。欧州は厳しい。(ユーロ危機の本質が治っていない。)それでもプラス成長が見込まれる。日本は消費税でマイナスだったが1.5%まで回復するかも。(基本シナリオ的に。)
ただし、リスク要因がたくさんある。イスラム。中東。ウクライナ。ロシア。原油価格。ロシアの経済の半分は原油価格に依存している。アメリカのリーマンショック後の量的緩和をやめる。金利によっては新興国の通貨が下がる。こんなにリスク要因がたくさんある年も珍しい。
「強いリーダに率いられた100頭の羊は100頭のオオカミに勝る」@ナポレオン。羊に羽つけると翔。そんな年?
去年は、負の遺産とサプライズの年。日銀のサプライズは、金融緩和の第二段。国債を30兆。マーケットでは直接的なイメージが大事。消費税引き上げ延期もサプライズ。去年は結局株価上昇は9%。アメリカと同様。
 アベノミクスを採点すると何点か?と聞かれ、阿部総理は67点と答えた。3本の矢のうち1本と、半分・半分の、2本が飛ぶ。当面2,3年は金を使う。その後財政再建。有効求人倍率も上がった。失業率は3.5%以下には下がらない。(経済がいくら良くても。)財政再建できるかはわからない。社会保障改革を本格的にやらないとダメ。ほっておくと1兆ずつ伸びる。無駄がある。経団連会長にも年金が支払われている。年金も、年を取っても元気で働けるならもらえない制度にすべきでは。平均寿命が延びたのに支払開始はそれほど遅くなっていない。世界中で支給開始年齢が上がっている。今みたいに湯水のように使う社会保障をなんとかすべき。これをやらないと財政再建ができない。多少の痛みは受け入れても次の世代につなぐことができるか。
 成長戦略は道半ば。産業企業、供給側を強くする。体質改善で時間がかかる。(ハマダ氏が金融政策はA、財政再建B、成長戦略EでABEと言ったらしい。)粘り強さが必要。
 ロンドンエコノミクスは3本の太い梁として絶賛。明治維新に匹敵するかも、と。海外がほめるのは珍しい。だがそのしばらく後、反対勢力が多いので無理、とのコメントも。去年はダボス会議で強めに言った。東京特区を認定。東京都と神奈川県、千葉の成田。成田は大学病院を作ろうとしているから。過去36年医学部が作られていない。(日本は医者不足だが、反対されていた。しかもなぜか西日本に偏って住んでいる。)成田空港のそばに立派な病院を作り、空港から来てもらう。メディカルツーリズム。
 阿部総理がミャンマーODAで病院を作るといった。医者は外国で勉強してきた人。日本はそういうのがない。
 法人税の減税。今35%。香港は17%。韓国25%。イギリス24%。イギリスは20%まで下げるといった。32%まで下げたが焼け石に水。下がったことはすごいが。
 公的年金、年金基金。GPIF。127兆円のファンド。世界最大。2/3は自動的に国債を買っていた。経済成長に使われてはいない。改革が始まった。シンガポールにも同じようなものがあり、規模1/4だが、1200人のプロフェッショナルが運用に関わっている。日本は75人。何もしてない。これにメスが入り、これまでは株に投資できなかったが、できるようにしたり、組織自体を変えたり。ガバナンス。法律改正。ポートフォリオだけで株式市場に8兆円が入ってくる。外国投資家は15兆円買い越しで上がったのと同様の影響。
 地方創生。全体と全員の問題。GDPが増えると全体がよくなる。全体がよくなっても全員がよくなる保証はない。格差が広がる。世界中で悩んでいる。アベノミクスは全体をよくする政策。全員をよくするために地方創生。ただし全体がよくならないと全員がよくならない。給付付き税額控除。税金を計算するときに一定額が控除されるが、課税最低限に満たない人には現金支給。負の所得税。1999年にブレア政権で導入された。マイナンバー制があればできる。軽減税率は低所得者対策にほとんど役立たない。
 消費税を上げてGDPが落ちた問題が解決できていない。一つが、30代問題。消費税が上がると30代の消費マインドが落ちた。あと住宅。ヨーロッパでは住宅の消費税が、通常の消費税と少し違っている。高額商品に軽減税率をかけることで高額商品(住宅とか)が売れるのでは。