のた犬のうまい猫めし

どら猫が作る、のた犬のための飯、略称、どら飯について語りつつ、各種技術、経済系セミナーに参加した報告、OSSいじってみた等のネタを入れていきます。更新情報はtwitterの@nota_inuにて。

楽天証券 新春講演会2015「日本経済の展望と勝ち残る企業の条件」経済ジャーナリスト 財部誠一氏

 野村證券、出版社勤務後フリーランスへ。積極的な取材を行っている。
 経済は政治の状況抜きには語れない。個別・具体的な状況を通じて全体的なものを描いてもらいたい。
 解散総選挙で自民がほぼ同数の議席を確保。マスコミは変わっていないと報道したが、何か変わっている。丁寧に見ていくとすべて変わっていく。時代の劇的な変換を認識できずにいるが、投資の前提として、予測、変化、チャンス、リスクを認識し、歴史観を持つこと。
 解散には明確な意図があった。政治と金のスキャンダルの払拭。消費税増税を延期するには解散以外に手がなかった。我が国には現実に起こっていることをまともに報告するメディアがない。日本のメディアを見て政治・経済を考えることはできない。本当のことを伝えることは実現しにくい。消費税増税延期には自民内でも反対があった。三党合意に従ってやるべし、と。与野党どこを見ても増税ムード。マスコミもエコノミストもやむなし。エコノミストは2%GDP考えていたが実際はマイナス。誰も足元が見えてなかった。無能だからではなく、金融系に所属していると、財務省に関係があるため、言えない。新聞やテレビがそれを応援する。日本の新聞の政治部長、テレビ局の政治部長の最大の情報源は財務省。何十年という時間軸で、財務省から担当がついている。財政再建を一番に考える財務省が作ったシステム。日和見的な世論形成ではない。消費税延期は阿部総理、菅官房長官、その周りだけが言っていた。だが解散総選挙が決まった瞬間、増税賛成と言わなくなる。解散が決まった瞬間、延期が決まったことになる。阿部政権が自民党のグリップを握った瞬間。
 阿部首相、菅官房長官は派閥に属していないため、首相になることができたのに自民党内に力がない。規制緩和もなにも一番反対するのが党内。三本の矢を打つには自民党内を抑え込まないといけない。増税を決める絶対的な策。
 解散総選挙に勝ったことで、4年間自民の内部からは反対ができなくなった。これが総選挙の大きな意味。最大のポイントは農協改革。JAの頂点、政治団体が中央政権をもっているが、それを変えたい。法案が出せるか、通せるかどうか。ただ前提ができてやり始めている。規制緩和成長戦略の第一歩が踏み出せるか。(第三の矢が放てるか。)
 阿部政権がやってきた経済成長の実態は、金融政策のみ。第一の矢だけでここまで来た。財部氏自身は、株に対しては前向きに考えている。10月の金融緩和の中身が、9兆円で国内株を買う、GPIFポートフォリオを変えるといった。公的年金が25%株を買うなら、ほかの年金も株に走る。日銀の9兆、公的年金の3兆、その他2兆円で、14兆円の株式投資が発生する。(1-2年で。)1昨年、日経平均を二倍に押し上げた投資家15兆円と同じ規模。客観的な認識として、それを見てどう思うか。外国人投資家は売るが、公的年金は売ったり買ったりしない。その規模の購入が発生するインパクト。株式市場のバランスで底上げがされる、ということ。
 円安、為替の水準にしろ、客観的に見る。110円くらいが心地よいと言っている。日本は円安のほうが企業収益は高いのは間違いない。株式市場を考えるときに、業績の変化を考えるのが重要。株は論理的に動く。短期的には変化をするが、実態は、業績連動。リーマンショックは、自動車、電機が崩れて赤になったため日本株に影響が。さらに円高で。今考えるべきは、今年は日本の会社の業績がどうか。これが投資をする時の哲学。株は業績連動に、グローバル変動要因が乗っかってくる。
 政治の状況も、「何十年も自民党で同じ」ではない。選挙で絶大な力を持ち、「デフレ脱却」の思いに力が付いた。これは大きなチャンス。グローバルに金融は危機的状況。
 投資家はくだらない安直な連想ゲームに付き合う義理はない。長い時間時期で。ロシア危機は98年に国家破綻。ただ同じようなことは今回は起こらない。外貨準備を積み上げてきた。ロシア通貨が売られてもパンはある。新興国危機も、アメリカが引き上げたからって破たんするわけではない。経済危機で通貨たたき売られた歴史から学んでいる。今年ASEANは関税ゼロで貿易自由化。一国では耐えられなくてもASEANで強く。個性・歴史が強いアジアはEUのようなのはできないが独自のものを作り上げた。人口増加、経済成長。この変化を理解する。人類は絶えず学び、似たことは起こるが同じことは起こらない。
 原油安も、もっと喜んで投資すべきでは。我が国のアキレス腱、資源が安泰ならぼろもうけ。21世紀はシュールガスで資源を輸入しなくなったアメリカの時代になる。アラビア湾航空母艦を置いておく理由がない。そうすると20世紀の安全保障が消える。ただ、ハイピッチで落ちたものはハイピッチで上がる。ただマスコミは下がるともっと下がるという。今年の半ばくらいにはこれまでと違う動きが。
 21世紀になってイノベーションの概念が変わった。20世紀はシンプルで自己完結。バリューチェーン。誰もが社内の問題としてとらえていた。21世紀は、IoTとか、サプライチェーン丸ごとで起きる。爆発的なヒット商品は発生しない。付加価値の追加が自社だけではできない。ユニクロセブンイレブンの小売りのイメージ。上流の持っているコアバリューを、商品に近い部分で価値を考え、産んでいく。ものとものをつなぐInternet(IoT)。技術的には、冷蔵庫が自動発注できる時代。そうなると小売業の競争相手もなんだかどこだかわからなくなってくる。IoT:インダストリアルインターネットでもある。あらゆるものにセンサーつけて、ダウンタイムを減らす。10%停止を止めると何百億の利益。それが一番やれるのは日本企業。ただし分析能力がないので、ソフトウェアの会社と組む。製造業はもはやハードウェアの会社ではなくなる。
 毎週金曜日の夜にBS11で対談しているので、見てほしい。